加賀山 陽子 (9期生 平成12年卒)
坂本塾 第9期生
上中学校⇒奈良高校⇒京都薬科大学⇒奈良先端科学技術大学院卒。
現在日本CRO協会所属イーピーエス㈱にて医薬品開発に携わっている。
大学時代は硬派坂本塾には珍しい女性講師で生徒たちを引っ張ってました。
坂本塾との出会い
私が坂本塾へ入塾したのは小学5年生のときでした。私には姉と兄がいましたが、彼らから二人とも塾生ではないにも関わらず「坂本塾は厳しいところらしい。」「努力しないでテキトーかましてると辞めさせられる。」という噂を聞かされていました。私は勉強がしたいなどという立派な動機ではありませんが、そんな厳しい塾とはどんな所だろうと、興味半分で入りたいと思っていました。当時、塾に通う同級生は親から勧められてという理由で入っている人が多かったのですが、私は自分から坂本塾に行きたいと言って入塾試験を受けに行ったことを覚えています。
坂本塾に入ってみると確かに厳しかったのですが、とても楽しく通っていました。坂本塾のおかげで奈良高校に入学し、その後京都薬科大学、奈良先端科学技術大学院大学へと進学、現在はCROと呼ばれる業界で働いています。
註:CRO(Contract Research Organization) 医薬品メーカーから受託し医薬品メーカーのパートナーとして開発業務を進めていく業界
坂本塾で学んだこと
坂本塾では勉強はもちろん、その後の生き方の基本となることを学んだように思います。それは「いつでもまずは考える」力がついたことです。今ではインターネットで検索をすれば、何でもすぐに答えが出てくる時代になりました。私の周りのいい大人でも堂々と「ネットに○○と書いてあったので」という人がけっこういます。でも、「考える」というひと手間があるのとないのとでは大違いだと思います。「考える」というひと手間をかける癖がついている人は、もし検索して答えが出ないものにぶち当たったときでも、なんとか対応して乗り越えてゆけます。
これらの力を中学生のうちまでに付けることが出来たのは、坂本塾にいたからでした。勉強の仕方や受験のことだけでなく、「で、そのあとどう生きていく?」というようなことをよく坂本塾の先生方は語ってくれました。
実際に社会にでると一人だけでできる仕事はそんなに多くありません。チームで仕事をしているとき、チームには様々な人がいますが、その中で「一緒に仕事がしたい」「一緒に仕事をしていて気持ちいい」と思える人がいます。こういう人たちに共通しているのは、必ず先に自分でしっかりと「考えて」から意見を持ってくるということです。「考える」という癖は非常に大切だと思うのですが、意外にもこれができない人は大勢います。私も坂本塾で学んだ「考える」力を持って、周りに一緒に仕事をしたいと思われるような人になりたいと日々精進しています。
講師としての坂本塾
私は大学時代に坂本塾で講師をしていました。そのときに自分が生徒だったときにはわからなかった講師としての責任を感じることが出来ました。
私が初めて生徒を怒った時、はっきり言ってうまく怒れていなかったと思います。生徒に対する責任がまだ甘かったのです。
出来ることを褒めるだけであれば、どれだけ楽だろうと思いました。生徒に対して本気で怒ると嫌われるかもしれません。しかしこちらが責任をもって本気で向かい合うと、彼らはしっかりと受け止めてくれました。私が塾生だったとき、坂本塾の先生たちが皆本気で向かい合ってくれていたのを感じていたように。
はっきり言って、他人である生徒に向かって本気で怒って嫌われることをしなくても良いはずなのですが、坂本塾で講師をするにあたってはそれではやっていけませんでした。
彼ら塾生は本気でやっているのだから、たとえアルバイトとはいえ講師も本気で向き合う。そうでなければこちらが伝えたいことは絶対に伝わらないと感じました。
私は生徒としても坂本塾で多くのことを学んできましたが、もう一度坂本塾に戻ってきたとき、再び大切なことを学ぶことができたと思います。
今の塾生のみなさんへ
塾生のみなさんには、今のうちに一生懸命にできることを何かひとつでも見つけてほしいと思います。もしかしたらそれが勉強でない場合、坂本塾にいる必要はないかもしれません。
しかし坂本塾では、例えば部活を一生懸命にやりながら、勉強も必死にやっていける環境があります。そしてなにより坂本塾の先生たちがそのサポートをしてくれます。
今振り返れば、塾生だった私は勉強を頑張るだけでなく、生徒会長(上中学初の女子生徒会長)であり、陸上部のキャプテンでもありました。
高校受験の前に坂本先生が「もうここまでやったのだから落ちてもいいわ、と思うくらい頑張ったか?」とおっしゃった言葉を今も思い出します。
完全にではありませんが、当時の私は概ねその境地に達していたと思います。坂本塾での5年間頑張ってきたので、これで落ちるのであればもうしょうがない...ハッキリとそう思えました。
みなさん、ぜひ「今」を頑張ってください。この先やりたいことがどんどん増え、やりたくてもできないこともどんどんと増えていきます。そんな中、今できることを精一杯やりきることはこの先で自信になり、今後の人生でもきっと役立つと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました!