岩田 侑祐 (20期生 平成23年卒)
坂本塾第20期生上中学校⇒奈良高校⇒京都大学工学部地球工学科卒業後、京都大学大学院地球環境学舎を経て現在(株)Z会入社
小6〜中3,高2〜高3の6年間塾生として在籍。大学在学中は講師として5年間,計11年間坂本塾に関わり続けた。現在は株式会社Z会にて高校数学の教材執筆に携わる。
坂本塾との出会い
小6のときに親から勧められる形で入塾しました。当時,地域の子供達の間では『坂本塾にいる子達は頭がいい』というイメージが定着しており,「自分についていけるのか」という不安を胸に塾に通い始めたことを思い出します。
坂本塾ってどんな塾?
勉強ができるすごい子たちが集まる塾と聞いていて,始めはビクビクしていましたが,話してみると意外と普通の小学生で驚きました(当時は,心から勉強が好き!と思っているような子たちばっかりだと思っていたのでなおさら)。
とはいえ,入塾から1, 2週間も経つといろいろ見えてくるもので,塾生は
『人が話している時は前を見て聞く』ことや
『忘れ物はしない・宿題はやってくる』こと,
『遅刻はしない』ことを当たり前としていて,それらができていないとダサいとさえ思っているようでした。
そこが当時の私(小学校の子たち)と決定的に異なるところであったと思います。
「今なお熱く」の諸先輩の方々も記しておられますように,坂本塾では大人にとって当たり前にできていなければならないこと
(メリハリをつける,時間を守る,忘れ物をしない,履物をそろえる,挨拶をする等々,,,)を大事にしています。
小・中学生にとって(もちろん保護者の方々にとっても),勉強の出来不出来が一番の関心事であるかと思われますが,あくまでそれは『やらなければならないこと』に全力で取り組んだ結果ついてくるものです。
当時の先生方はみな口を揃えて「成績がいいことが大事なんじゃない。悔いのないように全力で努力することが大事なんや。成績はその努力に応じて勝手についてくるもんや。」と仰っていました。
その『努力』を目に見える形にしているのが大テストや確認テストで,坂本塾でのテストは基本的にやったらできる,やらなかったらボロボロになるような作りになっています。逆に,やったかやらなかったかすぐにわかるようになっていますから,いくら得意な科目でも手を抜くことができない緊張感がありました。
ところで,学習塾といえば学校と塾の成績だけにしか興味がない,という印象を抱かれることかと思われますが,坂本塾では勉強以外の部活や生徒会などの取り組みにも熱くなれと教えられますので,こうした活動に対して制限されることはなく,むしろ歓迎・奨励される風潮にあります。
クラブチームに所属していた子や,習い事を掛け持ちしていた子もたくさんいましたし、かくいう私も,そうした風潮の後押しがあって生徒会長としての活動も乗り切れました。勉強だけじゃない充実した学校生活を送れたことに大変感謝しております。(余談ですが私の出身中学では歴代の生徒会長はだいたい坂本塾生でした)
高校で直面した問題と坂本塾高校編
坂本塾で学んだ,努力する姿勢とその経験で得られた勉強の仕方は高校生になっても変わらず通用するものでした。しかし高校では科目や科目ごとの勉強量も増えるので,『時間』に気を配る必要がありました。特に問題を解いて解いて解きまくればそのうちなんとなく解けるようになる中学とは違い,根本で理解していなければ絶対に解けないような問題が多くなる高校では,自分一人の力で理解するには時間がかかりすぎるし,何より間違って理解していてもそれに気づきにくいという問題があります。
私が高2の秋に開設された坂本塾高校編は,現在もそうであるように『基本的な学習スタイルは自習,わからないところがあったら聞きに行く』というもので,勉強の仕方はわかっているけど,内容の理解が難しい(もっと深く理解したい)と思っていた私(というより坂本塾を卒業した人たち)にはぴったりな環境でした。
予備校などにも自習室は存在しますが,やはり中学までお世話になっていた先生に引き続き見守ってもらえるという安心と信頼はかなり大きいです。
質問し易さ(話しかけ易さ)が全然違いますし,日々の出来事から進路の相談に至るまでいろんなお話ができることは坂本塾ならではの魅力ではないでしょうか。また小規模で運営している自習室ですから,時間を気にせず理解するまでとことん質問できたことも嬉しかった点ですね。
その後
京都大学進学後は,坂本塾の講師として情熱を持って塾生と接しました。多感な時期の子供たちの心に一生残り続けるメッセージ,それこそ坂本先生をはじめとしたお世話になった講師の方々が伝えてくださったあの「今この瞬間を燃えて,全力で生きること」を自分なりの言葉で子供たちに伝えることの難しさに日々頭を悩ませながら講師として成長させていただきました。また講師としてだけでなく,大人(社会人)としてどうあるべきか,かっこいい大人とは何かを学ばせていただけた,かけがえのない場所として一生心に残り続ける場所となりました。
講師として快く迎えてくださり,公私共に濃い時間を過ごさせていただいた先生方にこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。
後輩塾生諸君へ
皆さんは今,学校生活,部活に塾と大忙しで挫けそうになっている人もいるかもしれません。かくいう私も,いくら努力しても勝てない同級生と自分を比べて,自分の飲み込みの悪さに何度も落ち込んでいました。いくら頑張っても結果が思うようについてこないのはとても辛いことですよね。もしかしたら自分には才能がないのではないか。そう思ってしまうこともままあるでしょう。でも,それは少し違いました。本当は才能なんか必要ないのです。 周りがあなたよりできるのは,その分長い時間を勉強に費やしてきたから。ただそれだけなのです。その事実は目に見えないから,目に見える結果だけで判断してしまう。まずはその事実を受け入れてください。 そして,追いつく・追い抜くためには何をどうすれば良いのかを考えて(時には先生たちの知恵や力を借りながら),行動に移してください。 それが『努力』なのです。腐らず黙々と努力を積み重ねていれば,それはいつか必ず応えてくれます。
さて,最後に一番大切なことをいいますね。
今勉強ができるできないに関わらず,
「勉強ができる」ことではなく,
「努力ができる」ことに自信をもてるように頑張ってください。
何に対しても,どんなことがあっても,静かに心を燃やして努力する姿勢をこれから身につけていってくださいね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
20期生 岩田侑祐